中華 龍
お食事
昭和の全盛期から地元に愛されてきた老舗の味を受け継ぐ町中華の名店
2023年12月1日
港町と鉄道とともに栄えた「萬龍」の歴史
JR門司港駅の南側に建つ赤煉瓦造りの「九州鉄道記念館」。明治時代建築の旧九州鉄道本社社屋を改修したもので、往年の実物車両の展示やミニ鉄道公園など鉄道の歴史に触れることができます。
その九州鉄道記念館から徒歩5分。桟橋通り南側の路地裏に、老舗の味を受け継ぐ「中華 龍」があります。
かつて町の全盛期には栄町銀天街から連なる華やかな通りで、高級料亭や小料理店、割烹旅館が軒を連ねていました。昭和22年に創業したのが、前身となる中華料理店「萬龍」です。
創業当初は、中国出身で華僑の貿易商人だった初代が営む「貿易協力會舘」1階入口横の小さな食堂でした。増築後に1.2階の食堂、座敷を含む100人収容の大型店ヘと変貌を遂げます。
最盛期には席を確保するのも大変なほど、門司鉄道管理局員や国鉄労働組合員たちで賑わっていたといいます。
変わらない味の記憶をいまも刻む人気店「龍」
“伝統と名門の矜持”をモットーに一時代を築き上げた「萬龍」は、2015年の2月末に地元ファンに惜しまれつつも創業68年間の幕を閉じました。
そして同年3月、「萬龍」から徒歩1分の場所にアットホームな雰囲気が魅力の「中華 龍」が誕生します。
移転後も変わらず、昔のなじみ客や近隣の地元客、外国人観光客が訪れる人気店で、特に午前11時30分から12時台は満席になる日も多いとか。お昼は予約ができないので、少し時間をズラして訪れた方が良さそう。
心も身体も温まるおふくろの味【麺料理】を堪能
名古屋のホテルで修業後、福建省出身の両親の後を継いだ2代目店主の奥中鴻明さん。「中華 龍」では、店主のお母さんが作っていたレシピをもとに麺料理やご飯物を主に提供。昔から変わらない味を守り続けています。
メニューで見つけたのは、珍しい名前の「たーるー麺」。中国語では「大滷麺」「打滷麺」と書くそうで、あんかけ五目そばといえば伝わるでしょうか。シーフードや野菜、蒲鉾などの旨みを濃厚なとろみで包み込んだボリューム満点の一品です。
看板メニューの「みそ麺」は、ジャージャー麺をヒントに日本の甘口味噌を使って濃厚なあんかけ麺にアレンジ。濃い味に見えますが、野菜の旨みたっぷりの甘くて優しい味わい。シャキシャキ感のあるもやしやちゃんぽん麺と良く合います。
この味にハマる人も多く、毎回みそ麺だけしか注文しない人もいるとか。
海峡に面した門司港の冬は身体の芯がキュッと締まるほど寒く、熱々の麺料理はありがたいですね。店主ご夫妻の優しい人柄に触れながら、温かい麺料理をいただく。この冬の楽しみが増えそうです。
※令和5年11月現在の情報です。
店舗情報
- 店舗名
- 中華 龍
- 電話番号
- 093-321-2028
※お問合せまたはご予約の際は「あつキタ」を見たとお伝えいただくとスムーズです。
- 住所
- 門司区本町4-7
- 営業時間
- 11:30~14:00 17:30〜20:00
- 店休日
- 日曜
- 駐車場
- 有(3台)
この記事を書いた人
あらい くまこ
空の雲でさえ、綿飴に見えてしまうほど食いしん坊なフリーライター。食べ物を目当てに国内外を旅した機会は数知れず。食品開発、スイーツ店勤務の経験も持つ。市内の産婦人科内のサロンでアロマセラピストとしても活動中!